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2025.6.7

医療訴訟

胃腸炎と盲腸の誤診で損害賠償請求できる?|医療訴訟・医師意見書

腹痛や吐き気、発熱といった症状が現れると、多くの人は「胃腸炎かもしれない」と考えるかもしれません。

 

しかし、似たような症状を持つ病気の中には、放置すると命にかかわる可能性のある虫垂炎(盲腸)も含まれています。

 

実際に、虫垂炎が胃腸炎と誤診されてしまい、適切な処置が遅れてしまったケースは少なくありません。こうした誤診はなぜ起こるのでしょうか?

 

そして、万が一の誤診によって健康被害を受けたら、病院に対して損害賠償を請求することはできるのでしょうか。

 

本記事では、胃腸炎と虫垂炎の症状の違いや誤診が起きる背景、さらに医療ミスに対する法的対応について、医療鑑定の視点から詳しく解説していきます。

 

 

最終更新日: 2025/6/10

 

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Table of Contents

虫垂炎(盲腸)と胃腸炎の誤診が起こる理由とは?

虫垂炎と胃腸炎の症状の違い

虫垂炎では、初期に心窩部痛や吐き気が現れて、次第に右下腹部痛や発熱へ進行します。

 

一方、胃腸炎は嘔吐や下痢が主症状で、腹痛は間欠的です。症状の進行順序や痛みの部位が異なるため、注意深い観察が必要です。

 

 

虫垂炎と胃腸炎の誤診が起こりやすい理由

虫垂炎と胃腸炎は症状が似ており、特に初期段階では区別が難しいです。特に、妊婦、高齢者、小児では症状が非典型的であることが多く、診断が難しいです。また、画像診断の限界も誤診の要因となります

 

 

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胃腸炎と誤診された時のリスクは?

虫垂炎の見逃しによる重篤な合併症(穿孔、腹膜炎など)

虫垂炎を胃腸炎と誤診し放置すると、虫垂が穿孔して、腹腔内に感染が広がるケースがあります。

 

その結果、腹膜炎や膿瘍形成などの重篤な合併症を引き起こして、緊急手術や長期入院が必要となる可能性があります。

 

特に、高齢者や妊婦、小児では症状が非典型的で診断が難しく、注意が必要です。

 

 

実際に起きた虫垂炎の誤診事例

妊娠33週の女性が腹痛と嘔吐を訴えて、産婦人科を受診したところ、胃腸炎と診断されて帰宅しました。

 

翌日、虫垂炎の穿孔による腹膜炎を併発して、胎児が死亡する事態となりました。

 

このように、虫垂炎の誤診によって、患者や胎児の生命に関わる深刻な結果を招く可能性もあります。

 

 

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虫垂炎の誤診が損害賠償請求につながるケース

医療過誤と損害賠償の基本的な考え方

医療過誤とは、医療従事者の過失により患者に損害が生じた状態です。損害賠償請求には、医師の過失、損害の発生、因果関係の立証が必要です(医療過誤の3要件)。

 

賠償額には、慰謝料、逸失利益、治療費などが含まれ、交通事故の基準を参考に算出されます。

 

<参考>
医療過誤の3要件とは?損害賠償請求の流れも解説|医療調査・医師意見書

 

 

誤診=過失とは限らない理由

誤診があっても、医師が当時の医療水準に従い、合理的な判断を行っていたら、過失とは認定されない可能性があります。

 

また、予見可能性や結果回避可能性がなかったと判断されれば、法的責任を問うのは難しいとされています。

 

 

裁判や示談で争点となるポイント

医療過誤の裁判や示談では、医師の過失の有無、損害の程度、因果関係の立証が主な争点となります。

 

過去の裁判例では、適切な検査や診断が行われなかったことが過失と認定されて、損害賠償が認められたケースがあります。

 

 

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虫垂炎の誤診で損害賠償を請求する際の具体的な手順

どのような資料や証拠が必要か

損害賠償請求には、診療録(カルテ)、検査結果、画像診断データ、看護記録などの医療記録が重要です。

 

これらは医療機関が保有しているため、患者側は開示請求を行い、訴訟前に証拠を確保する必要があります。

 

証拠の収集は、弁護士の助言を受けながら進めることが望ましいです。

 

 

弁護士への相談から示談・訴訟までの流れ

虫垂炎の誤診による損害賠償請求では、まず医療過誤に詳しい弁護士に相談して、カルテや検査結果などの証拠を収集します。

 

診療録(カルテ)や検査結果などの医療記録を弁護士が精査して、医療行為に過失があったかどうかを医学的・客観的に評価します。

 

ただ、弁護士は医療の専門家ではないので、重要な医学的な争点に関しては、協力医(各科の専門医)に評価を依頼します。

 

医療調査は、訴訟や損害賠償請求の前提となる重要なプロセスであり、患者側が医療ミスを証明するためには欠かせません。

 

医療調査の結果をもとにして、病院との示談交渉を試み、合意に至らない場合は訴訟を提起します。

 

訴訟では医師の過失や損害の因果関係が争点となり、裁判所の判断を仰ぎます。

 

<参考>

 

 

医療機関との交渉ポイント

病院との交渉では、誤診の経緯や医師の過失の有無、損害の程度を明確にして、適切な賠償を求めます。

 

病院が誤診を認めない場合でも、弁護士を通じて証拠を提示して、責任を追及します。交渉が不調に終わったら、訴訟への移行も検討されます。

 

<参考>
医者が誤診やミスを認めない時の対処法は?|医療調査・医師意見書

 

 

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メディカルコンサルティングができること

医療ミスなのかについての医療調査

医療訴訟の多くは、単に治療結果が悪いだけで医療ミスではありません。単に治療結果が悪いだけでは、医療訴訟で勝てる確率は著しく低いです。

 

勝訴できる可能性の無い不毛な医療訴訟を防ぐためには、第三者による、医療ミスかどうかについての医療調査の実施が望ましいです。

 

弊社では、ほぼすべての科の事案で医療ミスか否かの医療調査(意見書作成可否調査)が可能です。詳細は、以下のコラム記事をご確認ください。

 

 

<参考>
医療事故における医療調査の基本内容とは?費用も解説|医師意見書

 

 

医療調査できる診療科一覧

弊社では、以下のようにほぼ全科の医療調査を実施できます。

 

  • 整形外科
  • 脳神経外科
  • 耳鼻咽喉科
  • 眼科
  • 消化器外科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科
  • 産婦人科
  • 泌尿器科
  • 脳神経内科
  • 循環器内科
  • 消化器内科
  • 呼吸器内科
  • 腎臓内科
  • 血液内科
  • 小児科
  • 放射線科
  • 精神科
  • 皮膚科
  • 形成外科
  • ⻭科
  • 麻酔科
  • 救急科
  • 感染症科
  • ペイン科
  • 病理

 

 

医療訴訟で使用する医師意見書

意見書作成可否調査で医療ミスであることが判明した場合、各科の専門医による顕名の医師意見書を作成することが可能です。

 

医療ミスの可能性がある事案で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

<参考>
医療訴訟の医師意見書|160名の各科専門医による圧倒的実績

 

 

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医師意見書の作成にかかる費用

医療調査(意見書作成可否調査)

医療訴訟用の医師意見書を作成できるのかを判断するために、医療調査(意見書作成可否調査)を必須とさせていただいています。

 

意見書作成可否調査では、各科の専門医が、診療録や画像検査などの膨大な資料を精査いたします。

 

概要

価格

基本料

140,000円

動画の長い事案

170,000円

追加質問

45,000円 / 回

 

※ すべて税抜き価格
※ 意見書作成には医療調査(意見書作成可否調査)が必須です
※ 意見書作成には別途で意見書作成費用がかかります
※ 意見書作成に至らなくても医療調査の返金は致しません

 

 

医師意見書

医療調査(意見書作成可否調査)の結果、医療ミスが判明して、医師意見書を作成する際には、別途で医師意見書作成費用がかかります。

 

概要

価格

一般の科

400,000円~

精神科

450,000円~

心臓血管外科

500,000円~

施設(老健、グループホームなど)

350,000円~

 

 

弊社が医療訴訟で医師意見書を作成した実例

 

弊社には全国の法律事務所から医療訴訟の相談が寄せられます。これまで下記のような科の医師意見書を作成してきました。
 

  • 脳神経外科
  • 脳神経内科(神経内科)
  • 整形外科
  • 一般内科
  • 消化器外科
  • 消化器内科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科(成人)
  • 心臓血管外科(小児)
  • 循環器内科
  • 産科
  • 婦人科
  • 泌尿器科
  • 精神科
  • 歯科

 

 

一方、眼科や美容整形外科に関しては相談件数が多いものの、実際に医療過誤である事案はほとんど無いです。このため弊社においても、医師意見書の作成実績がありません。

 

 

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胃腸炎と盲腸の誤診でよくある質問

盲腸の誤診率は?

急性虫垂炎の診断は難しく、誤診される可能性があります。虫垂炎と診断され手術を受けた患者のうち、病理学的に虫垂に炎症が乏しかった誤診例が報告されています。

 

誤診例では、CT所見で虫垂の同定率が低く、虫垂内腔の液体貯留が少ないなどの特徴がありました。

 

 

盲腸は自然に回復しますか?

軽症の虫垂炎であれば、食事制限や抗生剤治療により自然治癒する可能性もあります。

 

しかし、多くの場合、抗生剤治療が必要であり、痛みの程度や症状によっては入院や手術が必要となることもあります。

 

保存的治療で改善しない場合や再発のリスクがある場合は、手術が検討されます。

 

 

虫垂炎で死亡することはありますか?

虫垂炎の診断が遅れたら、虫垂が穿孔して、化膿性腹膜炎やエンドトキシン・ショックを引き起こして、死亡に至る可能性があります。

 

実際に、腹痛を訴えた患者が適切な検査や治療を受けられず、帰宅後に死亡したケースで、医師の責任が認められた判例があります。

 

 

誤診されたら、すぐに賠償請求できる?

誤診による損害賠償請求は、医師の過失、損害の発生、因果関係の立証が必要です。

 

誤診があったとしても、医師が当時の医療水準に従い、合理的な判断を行っていたら、過失とは認定されない可能性があります。

 

 

医師の過失が認められる基準は?

医師の過失が認められるためには、当時の医療水準に照らして、医師が注意義務を怠ったことが必要です。

 

具体的には、適切な検査や診断を行わなかったり、明らかに不適切な治療を行ったケースなどが該当します。

 

また、患者の症状や経過を十分に観察せず、適切な対応を怠ったケースも過失とされる可能性があります。

 

 

訴訟と示談、どちらが有利?

訴訟では、裁判所の判断により白黒がはっきりつき、納得感が得られることがあります。また、弁護士費用や遅延損害金が認められる場合もあります。

 

一方、示談は迅速な解決が可能で、費用や時間を節約できる利点があります。どちらが有利かは、具体的な状況や証拠の有無によって異なります。

 

 

 

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まとめ

 

虫垂炎(盲腸)と胃腸炎は初期症状が似ているため誤診されやすく、特に妊婦や高齢者、小児では症状が典型的でないことが多く注意が必要です。

 

誤診により虫垂が破れて腹膜炎などの重い合併症を引き起こすと、命に関わることもあります。

 

医療過誤として損害賠償を請求するには、医師の過失と損害の因果関係を証明する必要があり、弁護士や専門医の協力のもと証拠を集めることが重要です。

 

虫垂炎と胃腸炎の誤診で、お困りの事案があれば、こちらからお問い合わせください。

 

尚、個人の方は、必ず弁護士を通じてご相談ください。個人の方からの直接のお問い合わせは、固くお断りしております。

 

 

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