論理的でない?脊髄損傷における後遺障害の等級評価

投稿日:2022年2月5日 更新日:

脊髄損傷における後遺障害の等級評価は難しいです。ここでは、臨床医の目線で自賠責認定基準の評価を解説したいと思います。

 

脊髄損傷の等級認定の考え方

まず「介護が必要か否か」で、2級以上とそれ以下に分けられます。介護が必要(要介護)なら、2級以上となります。ここで言う要介護とは独りで外出できるか否かが分水嶺になります。

 

3級以下の介護が不要な事案では「どの程度の労働ができるのか」が等級の認定基準となります。主に労働能力に影響を与えるのは四肢麻痺の程度です。

 

つまり四肢麻痺の程度で、3級~12級のどの等級に該当するのかを評価します。実臨床では被害者の移動能力によって、3級~12級が判断されます。

 

脊髄損傷に合併した障害の評価

脊髄損傷による四肢麻痺以外にも、脊椎骨折や膀胱直腸障害などの胸腹部臓器障害を併発することがあります。いずれも別系統の障害なので、脊髄損傷と併合して評価されそうですね。

 

しかし実際には、これらの障害が等級に影響を及ぼすのは、四肢麻痺による労働能力喪失による等級を上回るときのみです。つまり四肢麻痺と同等級以下では、併合の対象にならないのです。

 

ただし、8級以上の等級が2つある場合は、単純に2級繰り上げして4級になるわけではなく、総合評価として1級繰り上げに留まる事案が多いです。

 

【例】

頚椎脱臼骨折に対して頚椎前方固定術施行のため11級7号
通常の労務に服することができる程度の頚髄損傷のため12級13号
→ 併合10級、もしくは総合評価として9級

 

頚椎脱臼骨折に対して頚椎前方固定術施行のため11級7号
通常の労務に服することができるが職種が制限される程度の頚髄損傷のため9級10号
→ 9級

 

胸椎脱臼骨折に対して胸腰椎後方固定術を施行したが著明な脊柱後弯が残存して6級
軽易な労務にしか服せない程度の頚髄損傷のため7級4号
→ 総合評価として5級

 

 

四肢麻痺による労働能力喪失による等級が、それ以外の障害を下回るときにのみ併合されるのは、実臨床を鑑みると理解に苦しみます。自賠責認定基準の改善が望まれますね。

 

 

文責: メディカルコンサルティング合同会社 代表医師 濱口裕之

 

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