後遺障害の等級認定において、科としての性質の違いから客観性の幅に大きな違いがあると感じています。
最も客観的と思われる科は外科・内科であり、これに次ぐのは耳鼻科や眼科、そして整形外科と続きます。もっとも主観が入る科は脳神経外科や精神科です。
外科や内科は検査結果や画像所見でほぼ等級が決まるため、あまり主観的な要素が入ることはありません。耳鼻科や眼科もほぼ同様です。
一方、整形外科も客観的な要素が強いですが、領域が多岐に渡り事案数も多いため、主観的要素の入った等級判断をせざるを得ない事案が一定数認められます。
そして最も主観的要素の強い科は脳神経外科や精神科です。脳神経外科は画像検査もあるから客観的要素が強いと思いがちですが、高次脳機能障害に関してはそうではありません。
かなりひどい脳挫傷があっても、1対1対応で後遺障害を残すとは限らないからです。このような現実に即して、自賠責の等級認定基準も画像ではなく神経心理検査に重きを置いています。
そして周知のように、神経心理検査は極めて主観性が強い検査です。このため、訴訟になると医証の解釈で争いになります。同じ医証をみているのに、双方の主張が真っ向から対立することも稀ではありません。
よく相手側から意見書が提出されたために反論意見書の依頼がありますが、自賠責的なマイナー科である内科・外科などと異なり、何とか反論できる事案がほとんどです。
膨大な医証を読み解く必要はあるものの、もしお困りの事案があれば気軽にご相談ください。
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