TFCC損傷で頻出する「内出血を認めない」問題を考える

投稿日:2021年4月17日 更新日:

手関節のTFCC損傷の非該当理由でよく見かけもののひとつに「内出血を認めないことが挙げられます。局所の腫脹ならまだしも、私の25年におよぶ臨床経験においても、橈骨遠位端骨折を併発していないTFCC損傷で皮下出血(内出血)を認めた症例は一例もありません。

 

それぐらいTFCC損傷で皮下出血を伴うことは稀なのですが、なぜか初診時に手関節尺側の皮下出血を認めないことが非該当理由に挙げられることが多いです。

 

異議申し立てでは、皮下出血が存在しないことをもって新鮮TFCC損傷が存在しない理由にはならないことを主張しますが、いつも釈然としない気持ちを抱いています。なぜ、このような実臨床と乖離した基準が大手を振って採用され続けているのでしょうか?

 

解剖学的に考えても、TFCC損傷で生じた出血が皮下出血になることは考えられません。そもそもTFCCには血行がないので損傷しても出血しないのです(もちろん周囲組織の出血は併発しえます)。

 

あまりに理不尽なので、医中誌で検索しましたが、TFCC損傷で皮下出血は伴わないことを明記している文献を見つけることができませんでした。そもそも臨床医にとって、TFCC損傷=皮下出血という発想が無いため、皮下出血に関する記載などゼロなのです。

 

まさに無いものを証明しなければならない「悪魔の証明」状態ですね。しかし、TFCC損傷の自賠責認定基準のひとつに皮下出血を認めることが挙げられているだけに、避けては通れない問題だと認識しています。

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