脊椎の既存障害は難しい

投稿日:2019年8月31日 更新日:

日常診療では、高齢者になるほど不顕性の脊椎圧迫骨折をよくみかけます。もちろん、不顕性ではなく明らかなな脊椎圧迫骨折の既往のある方もたくさん存在します。

脊椎圧迫骨折がひとつも無い高齢者は珍しいと言っても過言ではないのですが、このような既存症としての脊椎圧迫骨折は、交通事故実務においては思わぬ弊害をもたらします。

それは、これらの脊椎圧迫骨折が存在すると、既存障害とみなされるからです。例えば、既往に椎体前壁圧壊率が50%を超える陳旧性圧迫骨折を有する事案では、既存障害として『せき柱に中程度の変形を残すもの』として8級相当とされます。

このような事案では、今回の事故で椎体前壁圧壊率が50%を超えたとしても、既存障害として『せき柱に中程度の変形を残すもの』として8級相当なので、 加重障害は認められず、後遺障害には該当しないと判断されてしまいます。

椎体前壁圧壊率50%越えでは結構な障害が残りますが、その障害が認められず、12級13号の神経症状等と判断されたらたまったものではありません。しかし、ルール上はこのような取り扱いになるため、注意が必要です。

このような事案では既存障害の椎体圧壊率を再度測定したり、他の椎体で軽度の圧迫骨折があれば、併せて大きな圧壊率を薄める等の対応が必要です。しかし、いずれも本質的な対応ではなく、おおもとの認定基準自体の不備であることは論を俟ちません。

このあたりの等級認定基準に関しては、審査側に再考してもらいたいものです。

-ブログ

Copyright© メディカルコンサルティング合同会社 , 2019 AllRights Reserved.