外傷性頚部症候群(WAD)では将来、椎間板の変性が進行するのか?

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以前のブログでWAD患者と健常者ボランティアのMRI所見を比較した研究で、両群とも椎間板の変性所見は両群間に有意差はがなかった、との論文を引用しました。

 

その論文の中でWAD患者と健常者ボランティアをその後10年間追跡調査したという続きがあります。WAD患者で椎間板の輝度低下・後方突出や、椎間板高の低下などの所見は進行していたものの、頚部痛や上肢のしびれなどの症状は多くの患者で改善していたようです。WAD患者と健常者ボランティアの比較では椎間板の後方突出、脊髄圧迫の所見は両群間に差はありませんでした。ただ椎間板の輝度変化は40代のみWAD群で変化が多く認められていました。

 

以上のような結果をもってこの報告では、むちうち損傷が症候性の椎間板変性を加速させる可能性は低い、と結論づけておられます。

 

ただこの研究で10年間追跡調査できたのはボランティア47%に対し、WAD患者26%で、WAD患者の脱落率が高いです。

 

なぜ40代だけWAD群で椎間板の輝度変化が進んでいたか気になるところですが、この論文ではその考察はありませんでした。

 

WAD患者を長期でフォローすることの難しさを感じた論文でしたが、こうしたWAD患者とボランティアとの比較を長期で行った論文は国内では他にはなく、大変参考にはなります。

 

今後さらに大規模な母集団で比較研究が行われ、WADの病態が解明されることを期待します。

 

引用文献

松本守雄ら 整形災害外科 2009

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