手関節TFCC損傷のポイント

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激しく転倒して手をつくと、手関節の骨折を併発することがあります。一般的には橈骨遠位端骨折を併発することが多いです。最近では、ロッキングプレートという固定方法が主流になってきたため、橈骨の骨折に関しては、ほぼ解剖学的な整復位を獲得することが可能となりました。

 

それでは、手関節の問題はほぼ解決したのか?というと、残念ながらそういうわけではありません。確かに橈骨サイドの問題はほぼ解決されていますが、尺骨サイドの問題が残っているのです。具体的には手関節尺側(小指側)の痛みが残存してしまうケースです。

 

この橈骨遠位端骨折後の手関節尺側の痛みの原因として、TFCC損傷が挙げられます。TFCCとは「三角線維軟骨複合体」というややこしい名前の略称で、手関節尺側にある軟骨や靭帯の総称です。実は、このTFCC損傷に関しては、整形外科専門医であっても、あまり知識の無いドクターが多いことが特徴です。

 

もちろん、TFCCの存在を知らない整形外科専門医は皆無ですが、画像所見・身体所見の評価法・治療方針について詳細に知っているドクターは少ないのが現状です。このことは、交通事故後のTFCC損傷の治療や後遺障害診断書を作成する段階で大きな問題となってしまいます。

 

まず、TFCC損傷の治療方針ですが、50歳台以下の若年・壮年層と、それ以上の層に分けて考えることがポイントです。何故なら、TFCC損傷を併発している場合であっても60歳以上の方は、あまり疼痛等の後遺障害を残さないことが多いからです。逆に、若年層では、画像所見的には小さな損傷であっても、しつこい疼痛を残すケースを散見します。

 

最近では、前述のロッキングプレートの登場で、手関節の早期リハビリテーションが推奨されています。このことがTFCC損傷にとってはマイナスに働いています。昔であれば手術後も3~4週間の外固定を併用していたので、期せずしてその外固定期間中にTFCC損傷の治療も行われていました。

 

しかし、術直後から早期のリハビリテーションが開始されると、TFCC損傷の治療が行われなくなることを意味します。このため、ロッキングプレートでの治療後に、TFCC損傷の症状が残存するケースが増えてきているのです。医療の進歩が、あらたな障害のタネになっています。

 

そして、後遺障害診断書作成の際に、手関節可動域の計測で前腕の回内外の記載漏れを散見します。TFCC損傷において最も疼痛が発現するのは前腕の回内外時です。手外科医師の間でもTFCC損傷では前腕回内外が論点になるため、もし後遺障害診断書で前腕の回内外の計測漏れがあれば、早い目に主治医に追記してもらう必要があります。

 

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