交通事故コラム詳細

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頚椎捻挫や腰椎捻挫でレントゲン検査がMRIと同じぐらい重要な理由

 

今週の交通事故関連の話題

 

外来診療で脊椎疾患が疑われる方が初診された場合、まずはレントゲン検査をお勧めするのですが、なかには「レントゲンは要らないのでMRIを撮って下さい」と言う患者さんがおられます。単純にMRIの方が細部まで評価できそうというイメージを患者さんが持っている場合もありますが、弁護士からMRI撮像を指示されたことが理由であることも多いです。

 

確かにMRIは脊髄や椎間板の性状を評価できるため有用な検査ですが、レントゲンも同じぐらい重要な検査です。レントゲン検査がMRI検査と比べて有利な点は、動態撮影ができることです。具体的には、前屈、中間、後屈位の側面で撮影した像を比較して読影できます。中間位では問題なくても、前後屈で椎体が「ずれる」ことがあります。この「ずれ」、つまり「すべり」が生じるような椎体間に不安定性がある症例では、脊柱管狭窄を合併したり、神経症状が出やすいと言われています。

 

MRIで動態撮影を行う場合もありますが、術式選択の検討材料としてやむを得ず施行するようなケースに限られます。検査を実施するために、通常のMRI撮像よりも大幅に時間がかかるため、全ての方に行うことは現実的ではありません。このため交通事故で頚椎MRIで動態撮影を行う事案はほぼ皆無と言ってよいでしょう。

 

レントゲンに話が戻りますが、頚椎では動態撮影に加えて、斜位でのレントゲン撮影も有用です。レントゲンの斜位像は、神経根の出入り口である椎間孔の評価が可能です。このため頚椎では動態4方向か、斜位像も含めた6方向の撮影が一般的です。一方、腰椎で斜位の撮影を行う場合は、分離症の評価が主な目的です。しかし分離症は側面像でも分かるため、斜位像を撮る意味はあまりありません。腰椎の場合は動態4方向で十分と言えるでしょう。

 

このようにレントゲン検査とMRIでは、評価する対象が異なるため両方とも重要と言えます。MRIだけでは片手落ちと言わざるを得ません。頚椎捻挫や腰椎捻挫で後遺障害等級が認定されるためには、MRIだけでは不十分です。また臨床医の目からみても、画像検査でMRIしか施行されていない事案には大きな違和感を感じます。通常はレントゲン検査を実施して、経過が思わしくなかったり、神経障害を疑い症例に対して追加でMRIを施行する流れだからです。

 

少なくとも頚椎捻挫や腰椎捻挫で12級13号の後遺障害等級が視野に入る事案では、レントゲン検査も必須と考えるべきでしょう。MRIを撮像しておけば万事OKという考え方は非常に浅はかであり、12級13号の後遺障害等級が認定される可能性を下げてしまうことを理解しておくべきだと思います。

 

 

 

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